愛媛フォーレ報告

by O前

10月9日
 愛媛フォーレ初日。私は山上さんと幸徳さんに引率をお願いし、大学の後輩のK氏と共に神戸→淡路島→四国ルートで愛媛に向かいました
初日のイベントは、菌類の研究者の方々による講演会及び懇親会です。講演会では、最新の分類体系に関する講演が多かったのですが、黒木秀一先生の光るキノコ及びキリノミタケの生態に関する講演は非常に分かりやすく、興味深かったです(実はキリノミタケは子嚢果を形成する50年以上も前から、倒木に感染していたかも!?)。
 講演会が終わり、次は懇親会です。懇親会では恒例のミスN田先生によるオークションのイベントが用意されており、私も恥ずかしながらアシンタントとして参加させて頂きました。どうやら会場は盛り上がっていたみたいで一安心。多くの方々と交流を持つことができました。オークションにおきましては、N田先生を始め、兵庫県のN部さんと北海道のS山さんには本当にお世話になりました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。

10月10日
 本日はメインイベントである、菌類観察会が行われ、我々山上カー組は高縄山を目指しました。山地帯〜海岸までの幅広い選択肢がある観察地の中で、「四国山地から隔離されたブナ帯で、生物群が独自の進化をしている可能性がある」という説明に惹かれ、本観察地を選びました。観察を始めるや否や、傘の模様が美しいフチドリベニヒダタケが見つかり、撮影待ちの行列ができていました。地下生菌も、アカダマタケやヒメノガステル属菌を発見することができ、一安心。あっという間に観察時間が過ぎ、昼食と記念撮影を終え、高縄山を後にしました。
 ホテルの同定会場へ到着すると、案の定、凄い数のキノコが同定台を埋めていました。今回の観察会もこれまでと同様、新しい分類体系に従い、同定カードに記入し、並べていきます。
 初めて参加した大山フォーレの時よりは、遥かに新分類体系も身についてきたと感じたのですが、まだ、硬質菌を中心に未熟さを痛感しました。同定台には、オオキイロイグチやユキラッパタケなどの珍しいキノコも並んでいました。中でも嬉しかったのが、子嚢菌を集めた同定台で、Tarzetta catinusを見ることができて感激!
 更には、普段なら無視してしまいそうなビョウタケ目に含まれる小型菌まで、名前が付き大変勉強になりました。
 科博のH先生がご教示下さったDiatrype属は一生忘れません!

10月11日
 本日の予定は、まとめの会です。
 全国のキノコ会の代表の方々からの挨拶があり、我々の会からは山上さんが本会の紹介を行い、会場から笑いを誘っていました。その後、全員で記念撮影を行い、無事、愛媛フォーレの全プログラムが終了しました。
 この3日間は勉強になっただけでなく、多くの人々と交流を持つことができ、非常に有意義な時間でした。このような観察会を用意して下さった実行委員の皆様、本当にありがとうございました。


+++++報告の冒頭に紹介されたKさんの参加感想文です+++++

日本菌学会愛媛菌類観察会(愛媛フォーレ)感想
 私はこのような大きな会に参加するのは今回が初めてで、初体験のことばかりのため、多くのことを学ぶことができました。その感想をそれぞれの日に分けて書かせていただきました。
10月9日
 この日は、山上さんの車に同乗させていただき、会場へと向かいました。会場では、先生方による講演会がありました。講演された先生は黒木秀一先生、服部力先生、細谷剛先生、長澤栄史先生の四名でした。すべて興味深い内容で大変勉強になりましたが、その中でも特に心に残ったのは黒木秀一先生の『南九州の照葉樹林のきのこ』という講演でした。「キリノミタケ」をはじめとするユニークなきのこたちの話に幼いころのように心を踊らせ、聴き入りました。
 またその後の懇親会では多くの人と御話しすることができ、楽しい時間を過ごさせて頂きました。
10月10日
 愛媛フォーレ二日目は、観察会でした。さまざまな観察地がありましたが、私は高縄山へ行きました。ブナ林できのこを探すのは初めてだったので、どんなきのこが見れるか楽しみにしていきました。
 まだ経験もほとんどない私は、はじめて見るきのこばかりでした。かの有名なツキヨタケ、傘の中央が明け方の暗い空のような色のアオイヌシメジ、淡い紫色が美しいムラサキアブラシメジモドキなどをはじめとし、多くのきのこを発見することができました。
 同定会では、多くのきのこがあり、珍しいきのこもあるようでした。特に、傘の裏が迷路状のムカシオオミダレタケは、一度は見てみたいと思っていたきのこだったので、感激し、20分ほど眺めていました。いずれは自分で採取してみたいです。
 その後、サークル「こうぼうふで」さんが製作した、細部までとても綺麗なアミタケの模型を購入しました。夜には、ツキヨタケの発光をはじめて見る事ができました。図鑑の写真や、知り合いからの伝聞では、「あまり期待するな」との事でしたが、環境がよかったのか発光しない傘側から見ても光っているのがはっきりとわかるほどでした。
10月11日
 この日は朝食を食べたら、まとめの会を行い、帰路に着きました。再び山上さんの車に同乗させていただきました。
 行きの時は天気が芳しくなく良く見えなかった明石海峡大橋が良く見え、その大きさにただただ圧倒されていました。
3日間まとめ
 この3日間は、私の貧相な語彙力では書き表せないほどの経験となりました。今回の観察会で学んだことや、きのこに対する心のときめきを忘れずに、今後も勉強を続けていこうと思いました。


参加された方々の集合写真